役に立つ
今考えれば、前の部署で、
私はよくやっていたと思う。
あらゆる作業をこなし、
しかも、すぐに慣れて早くできた。
頭脳仕事もそれなりにこなせて、
上司の代わりにも、
相談を受け回答をした。
担当したクライアントには、
いつも信頼してもらえたし、
今でも、懇意にしてくれる。
同僚からも、頼りにされた。
それでも、私は
誰の何の役にも立っていない
と思わない時はなかった。
幸せな環境と分かっていたが、
この思いに、四六時中囚われた。
やっと異動が叶って、
今は
あの人の役に立ちたい
と乞うようになった。
今の方が、誰かに聞かなければ、
何の作業もできない役立たずなのに、
前のような虚無感は湧かず、
積極的に仕事に関わろうとする
自分がある。